静けさの奥に歴史あり。上粕屋神社と道灌塚をめぐる伊勢原さんぽ

伊勢原市

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静かな場所に、なぜか足が向いた

理由はうまく言えないんです。でも、ふと「静かな場所に行きたいな」と思う日、ありませんか。
私はそういう日に、伊勢原市の上粕屋神社を訪れました。

大山のふもと、里山の空気がそのまま残っているようなエリアです。観光地というよりは、
地元の人がそっと手を合わせにくるような、そんな場所でした。

上粕屋神社の由緒

上粕屋神社は、もともと「山王社」と呼ばれていました。江戸時代には山王宮とよばれていましたが、明治以降に日枝神社と改められ、その後近隣の御嵩神社、熊野神社、御霊神社を合祀し、
上粕屋神社と改め今日に至っているそうです。

創建の時期ははっきりしません。その始まりは天平年間(729年-749年)までさかのぼるとされ、
大山寺開創の際、僧良弁がこの地に山王社を勧請したという説と、
平安時代の大同・弘仁の頃に近江から日吉神を勧請したという、二つの言い伝えが残っています。
どちらが正しいというより、それだけ長く、この土地で祈られてきた
場所ということなのかもしれません。

御祭神は大山咋神を中心に、明治以降の合祀によって伊弉諾命、速玉男命、事解男命、伊弉冊命、
菊理比売命、泉道守命、日本武尊、天穂日命、大己貴命、少彦名命、事代主命、三穂津姫命など、
たくさんの神さまが一緒に祀られています。

ご利益について

中心の御祭神である大山咋神は、比叡山の日吉大社や京都の松尾大社でも祀られている
神さまです。
一般的には厄除け・方除けのご利益があるとされ、農業や収穫、縁結びといった
幅広いご利益があるとも言われています。

ただ、上粕屋神社そのものに伝わる個別のご利益については、詳しく分かりませんでした。
正直にお伝えしておきますね。それでも、長い年月、地域の鎮守として大切にされてきた
神社だということは、由緒からも十分に伝わってきます。

実際に歩いてみて感じたこと

境内に入ると、まず空気が変わるのを感じました。木々に囲まれていて、
車の音がふっと遠くなる。そんな感覚、ありませんか。

この神社は、扇谷上杉家の本拠地だった上杉館の鎮守社だったと伝えられています。
裏手に回ってみると、館の名残とされる空堀跡が今も残っていて、
堀の向こうに広がる台地一帯が、かつての上杉館の跡なのだそうです。
何気ない里山の風景の中に、
室町時代の館の広がりを思い浮かべると、少し不思議な気持ちになりました。

道灌ゆかりの地をたどって

地図で見てみると、比々多神社からこの上粕屋神社までは、
車の道のりでおよそ8kmほど離れているようです。正確な距離は多少前後するかもしれませんが、
そのくらいの位置関係だと思っておいていただければと思います。

このあたりは、古墳がいくつも点在する土地でもあります。古くから人が暮らし、
祈りを捧げてきた土地なんですね。

そして、このあたりは、太田道灌が命を落とした場所としても知られています。
道灌は、江戸城を築いたことで知られる武将で、川越や鎌倉、江戸と、広い範囲を
行き来しながら活躍していた人物です。それだけ多くの人の往来があった土地だった、
ということでもあります。

その道灌が、この地で暗殺されそうになりました。近くにあった糟屋の館で、
主君である上杉定正に襲われたと伝わっています。そして、現代の私たちから見ても
そこそこの距離がある洞昌院まで、命からがら逃げのびたものの、
そこで絶命したとされています。
この距離を、深手を負いながら進んだのかと思うと、
当時の切迫した状況が少し想像できる気がしました。

神社の裏手にあたる場所には、今は産業能率大学があり、学生さんたちが日々通っています。
良いか悪いか、というのは私には判断できませんが、
室町時代の館跡や暗殺の舞台となった土地が、今は若い人たちの学びの場になっている。
この変化を知って、時代の移り変わりを感じました。

神社から少し歩くと、洞昌院というお寺に、太田道灌の墓があります。
境内北側に祀られている宝篋印塔がそれで、市の文化財に指定されています。
時代を考えると、暗殺された時期と重なるとも言われていて、
風雨にさらされながら、ずっとこの場所に残ってきたことに、
なんとも言えない重みを感じました。

道灌の墓のそばには、七つ塚と呼ばれる小さな塚が並んでいます。
道灌の従者の墓とされる七人塚だと伝わっているそうです。主を失った家来たちが、
最後までそばにいたということでしょうか。史跡というより、
人の生き死にがそのまま刻まれている場所なんだな、と感じました。

アクセス・周辺情報

上粕屋神社と太田道灌の墓(洞昌院)へは、小田急線・伊勢原駅からのアクセスが便利です。

伊勢原駅北口4番乗場から大山ケーブル行きのバスに乗り、「道灌塚前」で下車。
そこから徒歩5分ほどで、洞昌院と上粕屋神社の周辺に着きます。

車で向かう場合、近くの通りに駐車できる場所もありますが、
あくまで住宅地や生活道路が近いエリアです。近隣の方のご迷惑にならないよう、
駐車の際は十分気をつけてくださいね。
*なお、バスの時刻や運行状況は変わることもあるので、
お出かけ前に最新の情報を確認していただくと安心です。

このあたりは、大山(大山阿夫利神社)へ向かう途中にあるエリアです。
せっかく足をのばすなら、大山まで一緒にまわるのもおすすめです。
ケーブルカーもあるので、体力に自信がなくても大丈夫ですよ。

上粕屋神社も、道灌の墓も、決して派手な観光地ではありません。でも、だからこそ、
静かに自分と向き合えるような時間が過ごせる場所だと思います。

歴史の重みと、里山の静けさ。その両方を感じられる場所って、意外と少ない気がします。
もし伊勢原まで足をのばすことがあれば、少しだけ寄り道してみてください。
きっと、なにか感じるものがあるはずです。

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おわりに

上粕屋神社も、道灌の墓も、決して派手な観光地ではありません。でも、だからこそ、
静かに自分と向き合えるような時間が過ごせる場所だと思います。

室町時代の武将が命を落とした場所が、今は学生たちの学び舎の近くになっている。
そんな時代の重なりを感じながら歩くのも、この土地ならではの楽しみ方かもしれません。
もし伊勢原まで足をのばすことがあれば、少しだけ寄り道してみてください。

心理学を教えている著者が、
“心の声”をテーマにした深い内容を
noteの有料シリーズとして連載しています。
ブログでは書けない心の仕組みを、丁寧に解説しています。
なぜ、同じ出来事なのに、あの人とこんなに感じ方が違うんだろう?|ライフリメイクタナカ

コメント

  1. タマ より:

    どこの神社でも感じることですが、鳥居を一歩入ると、違う風が横を通り抜ける感じがします
    上粕屋神社もそんな感じでしょうか
    太田道灌の墓もそんな幽玄静寂をまとっているのでしょうね

    • 田中真喜子 田中真喜子 より:

      いつもコメントありがとうございます
      確かにどこの神社にも、その神社らしい違う風が通り抜けます
      私は、上粕屋神社では古い木の写真があるかと思うのですが、
      光を感じたように思いました

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