天園ハイキングコースから少し寄り道|朱垂木やぐらと「地獄谷」と呼ばれた谷

鎌倉市

知らなければ、きっと素通りしていた場所

鎌倉の山道を歩いていて、岩に四角い穴がぽっかり空いているのを見たことはありませんか?
あれは「やぐら」と呼ばれる、中世の横穴です。
鎌倉ではあちこちで見かけるので、正直なところ、私も見慣れてしまっていました。

今回歩いたのは、天園ハイキングコースから少し外れた古道です。
そこに「朱垂木(しゅだるき)やぐら」という、ちょっと変わったやぐらがあると知って、
行ってみることにしました。
行ってみたら、案内板もなにもない場所で。
知らなかったら、たぶん普通に通り過ぎていたと思います。

朱垂木やぐらとは

やぐらは、主に鎌倉時代から室町時代にかけて、崖を掘ってつくられた横穴です。
多くはお墓や供養の場として使われていたと考えられています。

朱垂木やぐらは、十王岩の下のあたりの斜面にあるやぐら群の、ほぼ真ん中にあります。
ふつうのやぐらにある納骨用の穴が、このやぐらには見当たりません。
入口から奥へ続く部分の天井に、べんがら(赤い顔料)で平行な線が描かれています。
これが朱塗りの垂木(屋根を支える木材)を表しているのでは、と考えられているそうです。
名前もそこから来ているんですね。

調べてみると、側面には位牌の形が浮き彫りにされているそうです。
奥の壁には、仏像の後ろの光背のような彫り込みも残っているとのこと。
お墓というより、仏殿のような儀式の場だったのではないか、と言われています。

実際に歩いてみました

十王岩の下から古道へ

天園ハイキングコースから、十王岩の下へ続く古道に入りました。
人もほとんどいなくて、急に静かになります。

しばらく進むと、山の斜面にやぐらがいくつも見えてきました。
このあたりには数十ものやぐらが集まっているそうです。
資料によって約50とも、20数穴とも書かれていて、正確な数は詳しくは分かりませんでした。

説明板のない、不思議なやぐら

朱垂木やぐらの前に立っても、案内も説明書きもありません。
事前に知っていたから「あ、これかな」と思えたくらいで。
知らなければ、ほかのやぐらとの違いには気づけなかったと思います。

天井の赤い線は、何百年もたった今もちゃんと残っていました。
ここで昔、どんな人が手を合わせていたんだろう。
しばらくその場から動けなくなってしまいました。

檜の生える平らな草地へ

やぐら群をあとにして、山道をさらに下っていきます。
すると、ふっと視界が開けて、檜が生える平らな草地に出ました。
ここは「建長寺回春院奥平場」と呼ばれている場所のようです。

回春院から大覚池、谷の奥にかけての一帯は、昔「地獄谷」と
呼ばれていたそうです。
刑場があったという言い伝えも残っているとのこと。
ただ、どこまでが史実なのかは、詳しくは分かりませんでした。

明るくて静かな草地だったので、その名前とのギャップに少しどきっとしました。

カウンセラーの視点から少し

朱垂木やぐらは、知っている人には特別な場所です。
でも知らなければ、ただの穴のひとつに見えてしまいます。

交流分析には「ディスカウント」という考え方があります。
目の前にある大事なものを、つい小さく見積もってしまう心の動きのことです。
人に対しても、自分に対しても、わりとよく起きているんですよね。
「どうせ大したことない」と思っていたものが、少し知るだけで違って見えることがあります。
今回のやぐらは、私にとってまさにそんな体験でした。

あなたのまわりにも、素通りしているけれど実は大事なもの、ありませんか?

アクセス・周辺情報

アクセス

朱垂木やぐら群は、天園ハイキングコースの十王岩の近くから下る古道の途中にあります。
山道は細くて、案内もほとんどありません。
雨のあとは道がぬかるんで歩きにくいこともあるそうです。
歩きやすい靴で、明るい時間に行くのがおすすめです。
時期によっては通行止めになっていることもあるようなので、事前に確認してくださいね。
やぐらは貴重な史跡なので、外からそっと見学するのが安心です。

なお、バスの時刻や運行状況は変わることもあるので、
お出かけ前に最新の情報を確認していただくと安心です。

周辺の見どころ
十王岩からは、鶴岡八幡宮から海へまっすぐ延びる若宮大路を見渡せます。
近くには、たくさんのやぐらが集まる「百八やぐら」もあります。
天園ハイキングコースは尾根道なので、景色を楽しみながら歩けますよ。

※本記事にはPR(広告)を含みます

鎌倉に泊まるなら

コメント

  1. タマ より:

    やぐら巡りも鎌倉の楽しみ方ですね。
    べんがらが今でも色よく残っているのは、ありがたいです。
    垂木のつもりで、べんがらで描かせた人、描いた人は、どんな人だったのか、ロマンをかんじます。

    • 田中真喜子 田中真喜子 より:

      タマさま
      ありがとうござます。
      やぐら巡りは大好きなのでワクワクしてしまいます。
      ここまで木々がうっそうではなかったと思うのですが、
      どんな人が関わってたのか・・・ロマンですね。

タイトルとURLをコピーしました